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〈ぶつりアン〉は各研究室に棲みついています。
研究者は日々〈ぶつりアン〉とあそんだりケンカしたり考えたり笑ったり泣いたりしています。
このページでは、そんな〈ぶつりアン〉が様々な研究を紹介していきます。


ぷりん&ゼリー
 
第一話、プリンとゼリーの巻

ぼくは、プリンです。九州大学物理学教室の鴇田先生の研究室で、研究のお手伝いをしています。
今回、ぼくが紹介するのは、鴇田先生の研究室でやられている研究についてだよ。
となりにいるのは、ガールフレンドのゼリーちゃんです。よく、研究室にあそびに来ています。

ぼくたちプリンやゼリーは、科学の世界では、ゲルと呼ばれてるんだよ。 ぷりぷり感があるのが特徴。すこし詳しくいうと、氷のように固くもないし、かといって、水のようにサラサラじゃない。 やわらかいけれど、流れだしたり、形がくずれたりしないんだ。やわらかい固体(?)なんだね。
顕微鏡で、なかを拡大して調べてみると、やわらかさの秘密がわかるんだ。 スポンジのような網目の中に、液体が細かく、カプセルとなって、閉じ込められている のが見えるんだよ。 スポンジ、これがやわらかさの原因なんだ。そして、食べたとき、口の中でみずみずし くとろけるのは、スポンジに閉じ込められていた液体状のクリームやジュースが、出て くるからなんだ。
おいしいプリンって、やわらかくて、口あたりがなめらかなだよねえ。 そんなふうにつくるためには、網目の中に、できるだけたくさんのエキスを、できるだけ細かく、閉じ込めないといけないんだよねえ。 どうやったらうまく作ることができるのか、鴇田先生に何度も相談しにくるうちに、いつの間にか、この研究室で研究のお手伝いをすることになったんだ。



プリンとか、ゼリーとか、おいしくなるように研究するのって、
料理の研究じゃないの?


りっぱな物理の研究なんだ。 ゲル って、科学で理解されていないことがたくさんあるんだ。
それに、ゲル って、プリンとか、ゼリーとかだけじゃないんだよ。
たとえば、人間のからだをみてごらん。
からだの7割は水でできているんだ。でも、からだにある水が、流れ出したりしないでしょ。立ったり、寝転んだりしたとき、水は移動しないじゃない。それは、体のなかの細胞は、じつはゲルだからなんだ。ゲルの網目のなかに、たくさんの水が閉じこめられていて、流れでないようになっているんだよ。
ほら、人間も、ぷりぷりしてるでしょ?
そうなんだ。みんなも、ぼくたちプリンやゼリーとよく似ているんだよ。
ゲルの研究がすすめば、プリンだけじゃなくて、植物や動物の研究にまですごく発展するということなんだ。
ゲルの性質をしらべたり、法則をみつけたりすることは、重要なんだね。じゃあ、実験室を紹介しよう。
これが、ゲルのぷりぷり感を測る機械だ よ。
実験装置1



こっちは、ゲルが出来ていく様子を観察できるんだ。試料台にのせた、細いガラス管に、ゲルをつくる溶液を入れて、顕微鏡でみるんだよ。横の太いパイプは、温度を制御するために水を流しているんだ。






さあ、おまたせしました。こちらが、研究室自慢の装置です。共焦点レーザー顕微鏡といって、3次元の画像がみれるんだ。


普通の顕微鏡は、レンズに一番ちかい外側の表面 だけしか見ることができないよねえ。中身は見えないんだ。たとえば、卵を割らずに、中の黄身をみるなんて、できないよね。でも、この共焦点レーザー顕微鏡はすごい。これだと、中身がみえるんだ。(専門的には、たくさんの断面 画像をみることができます。断面画像を順に重ね合わせると、立体画像になります。)ゲルの網目のかたちや大きさを研究するには、ゲルの外側だけではなくて、 中がみえないと話にならないよね。だから、この機械は、とても、大事な機械なんだよ。
下の写真では、鴇田先生が測定しているよ。ぼくもお手伝いしてるんだよ。



鴇田先生、ゲルの研究でわかったことを教えてください。


「ゲルのなかで、物理ゲルとよばれているものでは、ゲルができるときに、スピノーダル分解がほぼ同時に起こります。」
ちょっと、解説しないと。。。
スピノーダル分解っていうのは、きれいに溶けていた溶液が、濃いところと薄いところにわかれてしまうことだよ。
普通は、砂糖を入れて、よくかきまぜて溶かした紅茶が、ある部分がとても甘くて、ある部分が甘くない、そんなふうに別れたりはしないんだけれど。そんな特殊なことが起 きるんだ。
「スピノーダル分解がさきにおこったあとで、ゲルができると、古くから考えられてい ました。しかし、昨年、私たちの研究で、アガロースという寒天の一種では、さきにゲ ルができたあとで、スピノーダル分解がおこっていることが判明したのです。」
すごい、あたらしいことがわかったのですねえ。
「ゲルのできかたは、そんなに単純じゃない。スピノーダル分解が先か後かをみても、 2通りあることがわかりました。」
「ゲルのできかたが違うと、もっとおもしろいことが起こります。できたゲルの形が変わるのです。今は、このことを研究しています。」
ぼく、プリンもお手伝いしているんだ!
湿布薬、肩こりとかケガしたときに貼るもの、これもゲルなんだって。
なんでも、製薬会社との共同研究で、画期的な湿布薬が開発できて、表彰されたそうです。粘着面にごみなどがくっつきにくく、粘着面どうしがくっついても、きれいにはがれる湿布だそうです。
ゲルのほかにも、タンパク質、泡などの研究も行っています。
じつは、鴇田先生の究極の目標って、生命の起源を理解することだそうです。 哲学者としても著名な、寺田寅彦氏の随筆「春六題」の一文を教えていただきました。

  ...生命の物理的説明とは生命を抹殺することではなくて、逆に「物質の中に瀰漫(びまん)する生命」を発見することでなければならない。....


ゲルの中に生命があるのかな〜? 
今回は、ぼく、プリンが鴇田先生の研究室を紹介しました。 みなさん、これからは、プリンやゼリーをみたときは、ゲルの物理の研究があることを思い出してくださいね。
(おわり)

第二話は「不安定かっくんのはなし」です。おたのしみに .... [第二話を読む]




実験装置2

顕微鏡

共焦点レーザー顕微鏡
共焦点レーザー顕微鏡
○鴇田先生が見ている顕微鏡の絵を見てみよう
鴇田グループのホームページ


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